基本的な事も理解していない『「保育」よりも、まずは「正社員解体」だ』というyahoo記事

 yahooの記事『「保育」よりも、まずは「正社員解体」だ』(田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表)に対し、あまりにも基本を理解していない箇所が相当数あったので、ツッコミを。
 ただ、これは現在の労働について、客観的なデータをほとんど参照せずに、イメージで語ってしまう悪しき例の典型でしょう。赤木智弘氏の正社員敵視然り(ツイートの例。基礎の基礎だけど、賃金を決めるのは、経営者や組合の労働協約であり、正社員が奪うというのは言いがかりも良いところ。)。よって、これに対する指摘は、イメージだけで語る文章に騙されない為に必要な事です。
 しかし、yahoo!はもっとちゃんと専門性のある人にだけ書かせたほうがイメージも悪くならないでしょうに…。

 「正社員」と「非正社員」、正規雇用と非正規雇用の垣根をなくし、より安定した雇用環境を整えていくということに尽きる。
言い換えると、「短時間低収入」の正規雇用や、一定期間の雇用関係と一定の収入がみこめる非正規雇用のあり方をシステム化するということだ。

前者(「短時間低収入」の正規雇用)はいま、L型正社員やジョブ型正社員などと呼ばれ、外資系企業の現場ではすでに取り入れられている。後者は派遣法改正のなかで徐々に取り入れられているらしい。

 文章が分かりづらいのですが、「一定期間の雇用関係と一定の収入がみこめる非正規雇用のあり方をシステム化するということだ」というのを、長期の雇用の保証と、収入の一定性=安定という意味で使ってるとしましょう。
 まず、「正社員=正規雇用」というのは、「期間の定めのない直接雇用」全般を指します。つまり、長期の雇用の保証をするのであれば、単純に正規雇用にすればいいだけの話です。そして、派遣法改正が何故出てきたのかは理解に苦しみます。なお、元来の派遣法では同じ事業所の同じ部署が派遣労働者を使うのは3年までと決められており、別の派遣労働者に変える事も許されていませんでしたが(つまり、直接雇用に変えるしかない)、最新の派遣法では、3年で別の派遣労働者に変えることは合法となり、むしろ流動化が促される内容となっています。他にも、派遣社員が安定する仕組みが、派遣法改正にあるように思えません。
(余りにも文章が分かりづらく、かつ具体的な指摘もないので、思いっきり読み間違いをしているかもしれません・汗。なお、待遇格差是正自体は肯定します)

いずれにしろ、従来の正規雇用と非正規雇用の二項対立を崩していく現実が、いま進んでいる。
こうされて一番困るのは、実は、既存の労働組合なのだそうだ。
既存労組、つまりは「連合」は正社員中心の組織であり、いまは非正規を少しは焦点化する議論を始めたらしいが、基本的に従来の正規雇用を守る組織だと思っていい。

 既存の大型労働組合は連合だけではなく、全労連もあるのですが…。
 それはともかく、何を根拠に正規非正規の二項対立を崩すと労組が困ると書いたのでしょうか。全労連のホームページには、露骨に非正規雇用の待遇格差を是正しようと書いてありますし、連合ですら、非正規労働センターというものを立ち上げて、格差是正を行っています。正規雇用と非正規雇用の二項対立が崩れると困る団体が、これらの格差是正を行うと言うのでしょうか? 
 組合絡みでは、下記も根拠不明。

 労働組合とはそもそもアンダークラスそのものである「労働者」を守るものであるが、ひとつの国の中で「先進国」化がすすむと、その労働者はミドルクラス化(中流化)していくため、皮肉なことに労働者は既得権益化していく。

労働者は大きな力をもつようになり、その存在そのものが、既存労働者/正社員に隠れた存在、つまりは非正規雇用労働者を隠蔽していく。
言い換えると、非正規雇用、アンダークラス、ニート、(多くの)女性労働者を隠蔽していく。

 確かに一部の既得権益者のための御用組合(例:沈まぬ太陽の新生組合のモデルとなったJAL労働組合)が日本には存在しえますが、それが中流化と結びつく根拠はありません。日本の労組がそうなり易いのは、会社ごとの組合が多く、結果権力側や会社側が潰しやすいからというのは、労組に詳しい人なら基礎知識レベルであるのですが…。

 まあ、素人のS.Watanabeが、素人でもわかるレベルのツッコミを入れたのですが、案外この程度の勘違いをしている人も多いのかもしれません。
 なお、蛇足ですが、非正規向けの組合も現状は山ほど存在しています。

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