「労働災害による休業中は解雇されない」の例外に注意

 労働災害における休業中は、基本的に解雇されないのが労働基準法19条の規定ですが、労働基準法81条には、

第八十一条 第七十五条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の千二百日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。

 とあります。つまり、労災によって休業している場合でも、3年以上復職できない場合は、打切保証を払えば解雇できるという規定です。先週、それが適用された高裁判決が出ました。

 労災保険の休業補償を受けて療養中、一定の賃金をまとめて補償すれば解雇ができるかどうかが争われた訴訟の差し戻し控訴審判決が12日、東京高裁であった。河野清孝裁判長は、解雇の無効確認を求めた元専修大職員の男性の請求を棄却し、解雇は有効と認めた。
 労働基準法は業務上の病気やけがで療養中の解雇を原則禁止。一方雇い主の費用負担による療養期間が3年を過ぎても治らなければ、賃金1200日分の「打ち切り補償」を支払って解雇できると定めている。
労災受給者の解雇可能 東京高裁、元専大職員の訴え退け 日本経済新聞 2016/9/12

 地裁と判断が違い、また、最高裁で変わる可能性も否定できませんが、労働基準法81条の規定が適用された例です。なお、記事にある「雇い主の費用負担」というのは、労災保険も含まれます(むしろ、労災保険は全員加入が義務なので、基本的にはこちらから支払われる)。
 この他にも、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合、つまり、地震や噴火等の天災によって事業所が倒壊し、事業を続けられない場合も例外的に休業中の解雇が認められています。但し、こちらの場合は該当性について、労働基準監督署において認定を受けなければなりません。
 もっとも、あくまでこれは法律的な定義であり、民事訴訟において、企業側の重大な過失によって三年以上の休業が必要になった場合は、前記とは別に、損害賠償が請求される可能性があります。事実、会社法第429条にも、「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」とあります。いずれにしても、解雇したいが、解雇要件に当てはまらないということでら労災のこの規定を使うのはナンセンスと云えましょう

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