そもそも、指揮命令なしの時間外労働は判例でも認められてないのだが

 PROG(河合塾、リアセック共同開発のプログラム)のCMが、一部で悪い意味で評判になっているようです。

 プロジェクトを立ち上げたのに、「手伝ってほしいと言われていない」からさっさと帰宅してしまう女性が出てきて、上司役の男性がバーで嘆くという動画であり、CMもこの男性にあからさまに賛同するようなカタチで作られています。
 このCMの問題は、言われてもいない、必要かどうかも分からない残業をしないということだけで、協調性がないというレッテルを貼る部分にも当然ありますが、それ以上の問題として、そもそも指揮命令のない残業は、「自主的時間外労働の場合は労働時間ではない」と判断される点です(東京地判昭和58年8月5日)。当たり前ですが、この場合は残業代の対象になりません。もっとも、時間外にも仕事があり、人手が足りないという場合には、たとえ口頭で指示を出さなくても、黙示の命令があると判断され、結果労働時間に当たるという判例((昭23.7.13基発1018、1019号))もあります。ただし、このCMでは、その例にあたるかは微妙な所であり、もし残業を行った場合、「自主的に時間外労働をしたから、会社からは残業代を支払わない」と言われる可能性もあり得るでしょう。

 少なくとも、指示がある場合や、指示がなくても必要があると客観的に判断されるような場合を除いては、残業を行う必要はありませんし、残業を行う事がリスクになり得る事は頭に入れておいても良いでしょう。日本においてはその感覚が麻痺しつつあるように感じますが、残業はそもそもイレギュラーなものであり、必要がある場合に最低限行うべきものです。このCMは、そういう前提知識すら欠如しており、極めて反社会的なものであると断言するのは言いすぎでしょうか。そもそも、河合塾は予備校の最大手の一つであり、日本の学力向上を担うような存在であるのに、こういう公民の知識不足を露呈するようなCMを作るのは、自身のブランドに傷をつける事になるのでは。

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