交通費についての直接の法律的な定めはないのだが…

 東京新聞に、派遣労働者に対して殆どの会社が交通費を支払っていないという記事がのっていました。

 通勤にかかる費用は、働くだれにとっても必要経費のはずだが、現実には多くの派遣労働者が受け取っていない。
(中略)
 業界団体の日本人材派遣協会が二〇一二年に行った調査では、78%の派遣労働者が「通勤費を支給されていない」と答えている。
 しかし、そのことで派遣労働者はさらなる不利益を被っている。
 通勤費が別で支給されていれば通勤費は税法上の必要経費扱いとなる。だが、自分の給与から通勤費を出している派遣労働者は、通勤費分も所得に計算されている。通勤費に自腹を切った上に、その分の税金も取られていることになる。
 なぜ通勤費を支払わないのか。派遣業大手のテンプホールディングス広報担当は「派遣で働く人には自分で仕事を選ぶ選択肢がある。勤務地も明示しており、自宅から近いところも選べる」と説明。同じく大手のスタッフサービス・ホールディングス広報担当は「給与は職務への対価として支払われている。仕事も本人の希望に合ったものを紹介している」。
 業界の主張は、派遣では仕事そのものの対価として給与を支払っており、勤務地などの条件は本人も納得して仕事を選んだはずだ-という理由のようだ。
 これに対し、派遣労働者でつくるNPO法人「派遣労働ネットワーク」などは今年八月、人材派遣協会に通勤費支給を推進するよう要請した。労働組合「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長は「同じ派遣会社でも、正社員や無期契約の派遣労働者には通勤費が支給される。大半を占める有期契約の派遣労働者に対する明らかな差別だ」と指摘。有期・無期で労働条件に不合理な差を設けることを禁じる労働契約法二〇条に反すると主張する。

働いてもアシが出る 派遣の78%、通勤費自腹 東京新聞 2016/10/17

 派遣業界の主張は非常に無理があるもの(そもそも職業選択の自由は誰にでもあり、この解釈が通じるなら派遣だろうと正規雇用と関係ないのだが)ですが、現状、企業側に交通費を支払わなければいけないという法律は存在しません。しかし、現状は、9割がたの企業は交通費を支給しており(参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構内ページ)、派遣ユニオンが語るように、多くの職場においては労働契約法二〇条に触れる可能性は存在します(派遣先、派遣元の正規雇用者に交通費支給が存在した場合)。また、団体交渉等で労働協約が締結され、そこに交通費の文言があった場合は、会社には支払い義務が生じます(詳細は労働協約についての記事で)。
 尤も、月で万単位の負担となり得る派遣労働者の交通費問題がこのままで良いわけはないでしょう。交通費に対して、労働者側の負担を減らすべく、法律や補助制度を確立することや、リモートワーク等で交通費がかからない方法を推し進めていくことが必要になるでしょう。

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